「紙とデジタルのマンガ体験はどう違うのか」コアミックスと東京大学の共同研究論文が学術雑誌「PLOS One」に掲載されました。
本件の研究成果について共同記者会見を開催いたしました。
株式会社コアミックス(本社:東京都武蔵野市、代表取締役社長:堀江信彦)は、東京大学大学院総合文化研究科・酒井邦嘉教授の研究チームとのマンガに関する共同研究論文が学術誌『PLOS One』に掲載されたことに伴い、2026年6月2日(火)に共同記者会見を開催いたしました。
本研究では、紙のマンガのほうが電子書籍よりも脳活動の省エネ化につながることを、マンガを対象とした脳科学研究として初めて明らかにしました。
会見では、酒井教授をはじめとする研究チームより、紙のマンガがもたらす読書効果に関する研究成果の概要や、その学術的・社会的意義について詳しい説明が行われました。
.jpg%3Ffm%3Dwebp&w=3840&q=75)
【記者会見 実施概要】
- 日時: 2026年6月2日(火)11:00〜12:00
- 場所: CREATORS LOUNGE ZENON(対面およびオンラインのハイブリッド開催)
- 登壇者:
- 東京大学 大学院総合文化研究科
- 教授 酒井 邦嘉
- 株式会社コアミックス
- 代表取締役社長 堀江 信彦
- 東京大学 大学院総合文化研究科

研究の概要
東京大学大学院総合文化研究科の酒井邦嘉 教授の研究チーム(助教 梅島 奎立、修士課程大学院生 砂田 裕貴)は、株式会社コアミックスとの共同研究において、紙の本のほうが電子書籍より脳活動の省エネ化を引き起こすことを初めて明らかにしました。
なお、「省エネ化」とは脳の余分な活動を抑えることを意味し、効率化や利便性などとは関係ありません。また、脳活動の上昇を「脳の活性化」と呼んで評価したり、活性化を促すことを「脳によい」と言われたりしますが、そうした表面的な表現は科学的な適切さを欠きます。
本研究ではMRI装置を用いたfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を使うことで、紙のマンガ本の読書後に生じた省エネ化を示す脳活動を世界で初めて計測しました。行動観察に基づく先行研究と比較して、脳活動の直接的な計測という点で新規性があり、この研究成果は今後、知的活動や教育における紙の価値の再認識に役立つことが期待されます。
東京大学プレスリリース:
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/20260604030000.html
論文情報
雑誌名:PLOS One
題名:"Manga reading on paper vs. digital devices: Prospective effects on core and supportive integration processes in the brain"(紙の本とデジタル機器で対比したマンガの読書:脳における中核的および補助的な統合過程に対する前向き効果)
著者名:Keita Umejima, Yuki Sunada, Kuniyoshi L. Sakai (責任著者)
DOI:10.1371/journal.pone.0349778
URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0349778
株式会社コアミックスからのメッセージと今後の展望

会見の結びとして、弊社代表の堀江より今後の展望をお伝えいたしました。
スマートフォン等での電子コミックの普及が進み、デジタルには「いつでもどこでも読める」という大きな利便性があります。一方で今回の研究により、「複雑な伏線を読み解き、キャラクターの心情に深く没入する」といった豊かなマンガ体験においては、紙という媒体が脳にとって非常に適していることが科学的に示されました。
弊社は、長年マンガ文化を支えてきた「紙のマンガ」が持つ固有の価値を再認識するとともに、デジタルと紙、それぞれの特性を深く研究してまいります。この知見を活かし、媒体に適した編集者の育成やマンガ家の支援を通じて、あらゆる世代に向けたマンガ文化のさらなる発展と新たな可能性の創出に取り組んでまいります。
株式会社コアミックスでは、マンガに関わるすべての方々を支援することを目的に、今後も研究開発を推進してまいります。
本件及びマンガ研究全般に関するお問い合わせは mailab@coamix.co.jp (担当:高崎) まで。
■ 東京大学について
1877年に創立された我が国最初の国立大学です。大学の組織・運営に関する基本原則を定めた「東京大学憲章」において、国内外の様々な分野で指導的役割を果たしうる「世界的視野を持った市民的エリート」を育成することを、社会から負託された自らの使命として掲げています。
現在は本郷・駒場・柏の3キャンパスを中心に、卓越性と多様性を体現する国内最大規模の総合大学として教育研究活動を展開しており、各キャンパスで日々生まれる新たな発見を卓越した研究成果として社会に還元しています。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html
■ 東京大学大学院総合文化研究科 酒井研究室 酒井 邦嘉(さかい くによし)教授について
東京大学大学院総合文化研究科(相関基礎科学系)にて「言語脳科学」を中心としたシステム・ニューロサイエンス(システム脳科学)の最先端研究を行う研究室です。「人間を対象とする脳機能の解析」および「言語を中心とした高次脳機能のメカニズム解明」を主要テーマとしています。
MRI(磁気共鳴映像法)やMEG(脳磁図)などの先端的物理計測技術を用いて脳機能を解析し、人間の脳における言語情報処理の基本原理や、「普遍文法」が脳内でどのように実現されているかという究極の問題に迫る研究を進めています。
本件研究員
酒井 邦嘉 教授
梅島 奎立 助教
砂田 裕貴 修士課程大学院生
https://www.sakai-lab.jp/projects/index.html
■ 株式会社コアミックスについて
2000年設立。マンガ作品の編集・出版および著作権管理を中核事業とする。主な作品に『終末のワルキューレ』『ワカコ酒』『北斗の拳』『シティーハンター』等。ライセンス事業制作・権利管理などを行う。雑誌『月刊コミックゼノン』、WEBコミックマンガサイト『ゼノン編集部』、自社アプリ等の複数の媒体を通じて作品を提供するほか、地方拠点における国際的なアーティスト・マンガ家育成、編集者教育、産学官連携による教育事業などに取り組む。
本社:東京都武蔵野市
https://www.coamix.co.jp/
■ 株式会社コアミックス MAI研究室 について
「人はなぜマンガを読むのか」「マンガが人に与えうる影響とは」など、マンガがどのように読まれ、作られるのかを生体反応やデータサイエンス、AIなど先端技術を用いて研究・分析しマンガ家、編集者の支援を行うための研究開発を行うR&D部署。
出版業支援用ITシステムの開発と運用も担う。
独自の研究に加えて、首都圏の複数の大学とマンガ制作、マンガ読書に関する共同研究を進行している。
花田健 (はなだ たけし)
中島太陽 (なかしま たいよう)
高崎薫平 (たかさき くんぺい)
松本悠佑 (まつもと ゆう)
■ 堀江 信彦 (ほりえ のぶひこ) について
1955年熊本市生まれ。早稲田大学法学部卒業。1979年、株式会社集英社入社。『週刊少年ジャンプ』編集部にて『北斗の拳』『シティーハンター』ほかの連載を担当。1993年に同誌第5代目編集長に就任し、在任中に発行部数653万部を記録。2000年に株式会社コアミックスを設立し『月刊コミックゼノン』などを創刊。
2020年熊本県高森町に、第二本社兼アーティスト育成施設「アーティストビレッジ阿蘇096区(オクロック)」を開設。2023年には熊本県教育委員会・高森町との連携により、公立高校初となる「マンガ学科」を熊本県立高森高校に設置。2025年第4回熊日マンガ文化賞受賞、2026年紺綬褒章を受章。北原星望のペンネームで原作者としても活動中。
文責:コアミックス MAI研究室